急がば回れ!!発達の土台作りは乳幼児期が最も大切です。手づかみ食べがいいことはっしているけれど、汚されるし、何を手づかみ食べさせたらいいのかわからない…と、思われる方もいますよね。何で良いのか?ということをまずはお伝えしますね。
離乳食後期(9~11ケ月ごろ)になると、自分で食べ物をつかんで、口に運ぶようになります。この時期に手づかみ食べをたくさんすると、のちのスプーンやフォークが上手に持てるようになったり、食べ物への関心が増してよく食べるようになったりと、赤ちゃんの成長をうながす面がたくさんあります。
さらに、手づかみ食べは脳の発達にも良い影響があります。❝ペンフィールドのホムンクルス❞をご存じでしょうか?ホムンクルスとは、ラテン語で「小さな男」という意味です。カナダの神経外科医のホムンクルスが、脳の各部分の対応領域が大脳でどのくらいの割合を示すかというマップ化しました。このマップをホムンクルスとして人型にすると、手と口唇が脳の大部分を占めることがよくわかります。手と口唇からたくさんの情報を受けとっているということです。手や口の感覚から、物の特徴や性質をとらえ、脳が刺激され活性化につながります。
画像:ペンフィールドマッピング図 Rasmussen and Penfield,1947より改変)
画像:左/運動野のホムンクルス 右/感覚野のホムンクルス ともにペンフィールドの「体部位再現図」をもとに製作
2018年 国立科学博物館所蔵
また、《手と足の感覚は脳の中でつながっている》という研究【国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門量子医学研究所脳機能イメージング部(平林・南本)、および国立大学法人京都霊長類研究所(髙田・井上),2021】もあります。サルを用いて脳の中で手の感覚を担う領域の活動を人工的に止めると、物がうまくつかめなくなります。さらにサルの足に冷たい刺激を加えると、足をひっこめるまでの時間が手領域の活動を止めると、より短い時間で冷たい刺激から足をひっこめることが分かりました。これらの結果により、手領域の活動を止めると足領域に対する抑制が外れて反応が強まり、それによって足の感覚が過敏になったのです。手と足の感覚情報処理やその異常が連動する、ということが研究で分かりました。
手づかみ食べによって手からたくさんの情報を得ることで、脳、足の感覚も育ちます。たくさん触覚経験を積むことでさまざまな情報をコントロールでき、日常生活を送るにあたって過敏による拒否反応なども減り、より日常生活が送りやすくなります。
親が食べさせてあげるのが習慣化していたり、子どもにスプーンを使ってもらえると嬉しい成長ではありますが、その前段階の手づかみ食べをたくさん経験できるよう、大人側のちょっとした気づきと勇気が、子どもの将来へとつながっていくことでしょう。
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